こなかがSS かがみヤンデレ編

警告!
このSSは、あなたのかがみに対するイメージを崩してしまう可能性があります。
また、ヤンデレのような行き過ぎ感のある表現系が苦手な方もお引き取り下さい。
実際、書いた本人である私ですら読み返して寒気がしたくらいですので。



それでも読みたい方、下の方へどうぞ。




































「・・・とかやって点数稼いでる訳?」
「・・・かがみ、なんか馬鹿っぽいよ?」
「うっさい!あんたから振ってきた話だろうが!!」

ある日の昼休み、食事の後。
こなたのバイトの話になり、ドジっ娘の手本みたいな事を演じてしまい、こなたにからかわれた。
恥ずかしい。非常に恥ずかしい。

「そういうトコはオタクってシビアなのな」
「私はかがみにこぼされたなら、むしろ歓迎だけどね」
「・・・えっ?」

その時感じた胸の高鳴りが『恋』という感情だったと理解したのは、その日の夜だった。

こうして私は、こなたに恋をした。

そりゃ、この一言だけで恋に目覚めたわけではない。
この言葉は引き金でしかない。今までの気持ちの蓄積が、この一言で恋に昇華したような感じだ。
今まで、誰かに恋心を抱いたことなど一度もない。
初めての経験に、私は戸惑うばかりだった。
しかし、私はその戸惑いを誰にも知らせたくなかった。恐かったのだ。今までの学校生活が壊れてしまうのが。
私は今までのこの学校生活を気に入っている。保守的な考えになる原因はそこにある。
こなたに自分の気持ちを伝えたところで、こなたとの関係がどうなるか分からない。
が、まずほぼ間違いなく、周りの見る目は変わるだろう。
まず、日下部や峰岸。峰岸なら気持ちは分かってくれるかも知れないが、日下部はどうしようもないだろう。女が女を好きだと言うのだ。おそらく面白い物を見る目に変わるだろう。
次につかさとみゆき。今まで4人で仲良く過ごしてきたが、この関係がどうこじれるか分からない。
特にこなた。もし振られたら、私が声をかけづらくて仕方ない。多分こなたの事だから、それでも今まで通りに接してくれる・・・しかし・・・
いや、第一にこの考え方は甘えすぎだ。
こうして考えれば考えるほどに不安が募り。
いつしか私の選択肢の中から『こなたに告白する』という項目が消えてしまった。



そうして過ぎていった時間。あれから半年ほど経ち、いつしか紅葉が散る季節になっていた。
ある日の通学路。同じ制服が、同じ建物を目指して歩いて行く。始業の時間まではしばらくある。

「もうそろそろ寒波が押し寄せてくるらしいわよ」
「ここの所冷え込んできたもんねー」
「お父さんに早くこたつ出して貰うように言わなきゃ。寒くておちおちゲーム出来ないよ」
「またあんたは・・・」

私は頭を抱える。こなたに進学する気があるのかどうかは知らない。それは本人の自由だ。
しかし、私はこなたの将来を真剣に心配していた。
いくら「もう学歴社会ではない」と言っても、やはり大学を出たくらいの勉強量は積んでいないと仕事にならないのか、高卒は採用されづらいと言う。
こなたが将来収入に困ることもなく、幸せに暮らしていけるようにするためには、やはり大学へは行った方が良いと思うのだ。

「大学受験はどうするの。もう来週にはセンター試験の申し込みがあるんだから」
「そういえば黒井先生もそんなようなこと言ってたなー」
「私は、えーと、何受験すればいいんだっけ?」
「つかさまで!つかさは志望校決まってるんでしょ。図書館で資料引っ張ってきて、センターでは何が必要なのか調べておきなさいよ」
「う、うん!」
「私はどうすれば良いのかナ?」
「第一、将来何するつもりなのよ?」
「うーん、そういうの無いんだよね。特に夢も無いし」
「そうやって、将来に希望もなく、引きこもって親に寄生してるのをニートって言うのよ」
絶望した!この冷たい世の中に絶望した!!」
「あんたが甘えすぎてるだけでしょ!!・・・もうこの際だから、あんたの贔屓のギャルゲー作ってる会社でシナリオライターでもやってみたら?」

定職に就ければ何でも良い訳では無いが、出来るだけこなたに合った仕事と、そこまでの進路を考えてあげたかった。

「ふはー、絵が描ければいとうのいぢさんみたいな事も出来るんだろうか・・・」
「絵描けないでしょ」
「・・・まあね。シナリオライターねぇ・・・」
「そうやってキチンと進路を考えなさいよ・・・じゃあ、また昼来るわね」
「行ってらっしゃい、おねーちゃーん」
「んぁ、またね」

ため息一つ。教室の前で分かれても、私の頭はこなたにふさわしい将来像を考え続けていた。

シナリオライターでなければ何だ?ラノベ作家?それとも漫画の原案を作る仕事・・・なんて言うのかな、あれは。それから・・・」
「柊。柊?」
「ふぇっ、な、何よ」

名前を呼ぶ声によって我に帰る。日下部が面白そうに、峰岸が心配そうな顔でこちらをのぞき込んでいた。

「さっきから独り言ばっか。何だ、シナリオライターって」
「何度呼んでも返事が無いし・・・」
「あ、ごめん、ゴメン!で、何?」



昼休み。弁当箱を下げ、B組の教室へ向かう。
「おーっす」
「あ、お姉ちゃん。食べ終わったら、進路案内の資料探すの手伝ってくれない?いっぱいあって、どれがどれなんだか分からないから・・・」
「良いわよ。みゆきはどうするの?」
「私もご一緒します。人数が多い方が効率が良いでしょうしね」
「わー、ゆきちゃん有り難う!」
「ふぅーむ、じゃあ私も行くかな」
「あんたは来て当たり前だ。将来のこともっと考える材料にはなるでしょ。あ、そうだ。漫画の原案とか作る仕事とかはどうよ?なんて言うのかは知らないけどさ」

思わず人差し指を立てて話す私に、こなたはこう言った。

「かがみはお節介だねー」

その時、私の中で何かが壊れた。様な気がした。

「お節介・・・?」
「そうそう。私の人生だもん。心配してくれるのは嬉しいけど、私の好きに・・・」

ぱしぃっ

こなたの頬に、くっきりと赤い痕が付いた。
こなたの手を離れたチョココロネが宙を舞い。
その時間がゆっくりと流れ、私には全ての光景がスローモーションで見えていた。

「こなたの馬鹿っ!!!」

そう言い残すと、私は教室から走り去っていた。



あまりその後のことは覚えていない。
気が付いたら、授業も全て終わり、一人で帰路に着いていた。
視線は自分のつま先へ。落ち葉がまた一枚、くしゃりと音を立ててあっけなくクズクズになる。
そのまま家に帰る気にならず、近所の本屋で立ち読みをした。
数冊のラノベを手に取り、こなたのお気に入りの絵師によるイラストだと分かって、すぐ棚に戻した。ページを濡らして、買わざるを得なくなりそうだったから。
また別の本を取り、100ページほど読んで帰ることにした。
帰宅すると、もうつかさは帰っていた。
「お帰りなさっ・・・い」
「・・・ただいま」
三白眼だった私に驚いたのか、すこし息を飲むつかさが見えた。特に気にせず通り過ぎ、自室へ向かう。
鞄を放ってベッドに倒れ込むと、急に涙がこみ上げてきた。

「こなたの馬鹿ぁっ・・・私がどれだけあんたの心配してるか知らないでっ、ぐずっ、人に恋心抱かせて、一方的に突き放すなんてひどすぎるわよ!」

バンバンとベッドを叩く。そのたびに少量の埃が舞い、目に入って、さらに涙を促す。

「あなたが幸せじゃなきゃ、私は幸せになんかなれないのよ・・・」

こなたに何かあれば私も後を追うつもりでいられるほど、私の恋心は募っていたのだ。
言い換えれば、好きでどうしようもない。
しかし、私はずっとその感情にストッパーをかけてきた。
そんなつっかえ棒は外してしまうべきだ、と主張する私。
そのストッパーは外してはいけない、と主張する私。
その二人が争っていた。
が、今日になって、あんな事件があったから。
今になって決着が付こうとしている。

私は大きめの鞄を探していた。

争っていた二人の私が動きを止めた。

鞄に荷物を詰める。

勝ち残ったのは、外れたつっかえ棒を高々と掲げた私だった。

鞄のチャックを閉める。

ストッパーの無くなった私は、鞄を持って家を飛び出した。



ピンポーン

泉家のインターホンが音を立てる。見上げた空は、オレンジ色の雲で溢れていた。

『はい、どなたですか』

聞き覚えのある、こなたのお父さんの声だった。
間髪入れずに声を出す。自分でもびっくりするくらい、落ち着き払った声が出た。

「柊です。こなたに話があって来ました」
『ん、こなたかい?今ちょっと落ち込んでるみたいなんだが・・・ゆーちゃん、どうだった?・・・』

スピーカー越しでは聞き取れないが、小早川さんが様子を見てきたようである。

「どうなんですか?こなたは・・・」
『あ、ああ、ちょっとまだ状況を把握できないで居るんだ・・・いつまでもそこに居て貰うわけにも行かないから、とりあえず上がって』
「お邪魔します」



「いや、学校から帰ってきてからどうも様子がおかしくてね•••ずっと俯いたままで、声をかけても返事をしないんだ」
「いくらドアを叩いても返事がないんです」

二人が心配そうに腕を組んで唸ったり、目を伏せたりしている。

「私にこなたと話をさせて下さい」
「えっ」
「私が原因ですから」

そうとだけ言い放って、私は鞄を持ってこなたの部屋へ向かった。



「こなた。こなた、居るんでしょ。開けなさいよ」
「•••かがみ?」

ガチャッと小さな音を立てて、扉に小さな隙間が空いた。泣き黒子のある目が、そこからこちらを見ていた。

「•••入って」

ドアを叩いたのが私であることを確認したかったのか、すぐに顔は引っ込んで、代わりにドアが開いた。
私はすぐに部屋に入って、後ろ手にドアを閉める。パタンという音に混じって、カチャリと音をたてた。小さな音だ。こなたには届いていないだろう。

「今日の昼の事ね」

こちらを向いて、こなたが言う。

「ごめん、私が無神経だった」
「•••」

私はドアに寄りかかって、話を聞く。

「かがみは私のこと心配して言ってくれてたのに、私、『お節介だ』なんて•••」
「良いのよ•••昔からお節介焼きだから」
「•••」
「それより、私こそゴメン。突然殴ったりして。痛かった?まだ腫れてたりしてない?」
「うん、全然大丈夫。•••ごめんなさい」
「!まったくあんたは•••」
「?」

嗚咽がこみ上げてくる。拳を握る手に力が入り、涙を見せたくなくて下を向いた。

「何で私に非を認めさせてくれないの?!」
「っ•••かがみ?」
「あれは殴った私が悪いのよ!!こなたは何も悪くなんか無い!!」
「で、でも、それは私に原因が」
「殴ったことは私が悪いのよ•••でも、言われてみればそうよね•••原因はあんたよね•••」
「そう、そう。だからかがみ、気にしな」
「気にしないなんて無理に決まってるじゃない!!私があんたを好きになった原因はあんたよ!!!」

その時、感情のままに言葉を口走っていた事は、ボンヤリ覚えているが、どんな感情だったか、いっさい覚えていない。大泣きしていたかも知れないし、気味悪く笑っていたかも知れない。

指さされたこなたは、ただただ口を開けるだけだった。
私は、ゆっくり、ゆっくり、こなたの方へ歩みながら続きを紡ぐ。

「もう、いつ貴女のことを好きになったか、なんて関係ないわ。今、私はこなたを好きで好きでしょうがない。問題なのはその事実だけなのよ•••ねえ、こなたはどぉ?私のことどう思ってる?」

こなたは、蛇に睨まれた蛙のごとく動かなかった。やがて、私が近づくに連れて、後ずさりを始めた。
私の顔に何か付いてる?

「わ、わわ、私はっ」

声が震えている。何か恐いものでも見たかのようだ。
ついにこなたの背が壁に付いた。

「私はっかがみの事、す、すすすす、好きだよ」

そんな恐怖にゆがんだ顔で言わないでよ・・・

「そんなに怖がってどうしたの?私の後ろに幽霊でも居る?」
「かがみ・・・その笑い方・・・恐い・・・ひいっ」
「大丈夫よ・・・私がついてるから・・・」
「か、かがみ・・・?頭掴まないでよ、どうしたの?」
「決めたの」
「な、何を?」
「こなたを私の物にするんだ、って」

こなたの唇を割って、舌を挿し入れた。出来るだけ舌を伸ばして、開いたままの口の中を蹂躙する。

「ぅむうんぅんぁん!!」

こなたが声を上げる。私を突き放そうとしているのか、胸元にこなたの手が当たっていた。
しかし、私はますますガッシリとこなたの頭を引き寄せ、この口づけを続けさせた。
少しして口を放した。私の舌が抜けた後で、こなたの歯が噛み合ったのが分かった。

「か、かがみ・・・何するの・・・?」
「言ったでしょ、こなたを私の物にするんだって。こなたが振り向いてくれないなら、私が振り向かせる」
「い、意味わかんない・・・」

とうとう、こなたの歯がカチカチと音を立てて、こなたが震え始めたのが分かった。

「怖がることは無いのよ。ただ、こなたが一日中私のことしか考えられないようにするだけ・・・」

壁にくっついて固まっていたこなたを、優しくベッドへ倒す。もうこなたは抵抗する様子を見せなかった。
私は鞄から、持ってきた道具を取り出した。



翌日。朝。

「あ、こなちゃん、おはよう!」
「おっす、こなた」

いつもの待ち合わせ場所で、珍しく私たちより先に来ていたこなたに声をかける。
こなたは一瞬、小さく震えてから、いつもの笑顔で挨拶を返してきた。

「おはよー、かがみ、つかさ」
「じゃあ行こうか。バス遅れるとマズいし」

さり気なくつかさの後ろに回り、こなたと肩を並べる。

「どお?調子は」
「っ・・・大丈夫です、かがみ様・・・」
「改まった言葉使わなくて良いわよ。あと、かがみ様、は止めなさい」
「はっ、はいぃ!」
「じゃなくて?」
「は、う、うん・・・」
「良くできました」

私は素敵な物を手に入れた。