図書委員会用小説其一

タイトル:未定(2006年7月29日現在)


其の一:気が付けば俺がスパイ?!



ある飛行機内。ビジネスクラス
俺は、東京に本社がある俺の勤めている会社から、長崎まで出張中だった。
今はその帰りだ。
仕事はそこそこうまく行っている。
まあ人生に多くを求めることも無いだろう。俺みたいな人間の人生に多くを求めようという方が酷だ。
さて、この機では映画のディスクを貸してもらえると聞いた。もちろん別料金だが。
ちょっと見てみたい古めの映画がある。それでも見てみようか。
添乗員さんがこっちに来た。
「すみません、この映画のディスク貸していただけませんか?」
「はい、かしこまりました。少々お待ちください」
なかなか美人だ。
しばらくして、希望通りのディスクが運ばれてきた。ノートPCにセットして再生を開始する。
ああ、そういえばこんな感じのスパイ映画を見たことがあったっけ。
「やあ元気かね、藤本君」
そうそうこんな感じで始まって・・・
「早速だが今回の任務だ。至急、北京へ飛んで、あるマフィアグループの取引を妨害して欲しい。ブツは小型核弾頭だ。これが使用されるようなことになれば、世界平和が脅かされる。まあ、あたりまえだがね」
そんな夢みたいな武装兵器があるわけ無いだろ。中東アジアなんかに渡れば大掛かりな戦争になるだろうに。
「なお、このディスクは自動的に消滅する。健闘を祈るよ」
こんな感じで終わって・・・って!


なぜ俺のノートPCが煙を上げているんだ?!


マジもの?!いや、本物?!なぜ?!こんなに簡単に一般人に見つかっていいものか?
混乱している俺は周りの騒がしい足音に気づかず、かろうじて覚えているのは、謎の黒服にクロロフォルムが染み込んでいると思しきハンカチを俺の顔に押し当てたことだけだった・・・




「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・誰だうるさい。俺は確か・・・
「・・・・・・」
「・・・ん?目が覚めたようだね?」
・・・!
目が覚めると、そこは俺の自室でも、さっきまで乗っていた飛行機でもなかった。
「どこだここ!」
「まあ落ち着きたまえ。君が錯乱するのも無理はない」
「当たり前だ!錯乱しまくりだ!って、お前はさっきのスパイディスク(仮称)に出てたオヤジ!!」
「オヤジとはなんだね!確かに最近抜け毛が気にはなるが・・・」
「お二人とも落ち着いてください」
鋭い声が横合いから飛んできた。