今日のゆうじろうSS
「はい、みーちゃんホワイトデーのクッキー!!」
「で、でもらいちゃん。私、らいちゃんからバレンタインデーにもチョコもらったよ・・・?」
「いーの、いーの!甘いもの食べればみんな幸せ!みーちゃんには特に幸せになって欲しいからね!!」
「あ、ありがとう」
顔を赤くしてうつむきながらも、あたしの作ったクッキーを受け取ってくれるみーちゃん。
この恥じらい方が何とも可愛らしい。
「さ!食べて食べて!で、感想教えて!」
「んー、普通なんじゃん?旨いことは旨いけど、それ以上でも以下でも無いってゆーか」
「さ、さっちゃん!?いつの間に!」
「今よ今」
「あーっ、みーちゃんに上げたクッキーを・・・」
「一つしか食べてないじゃん。ほれ、私からもお二人にプレゼントだ」
「・・・市販品じゃん」
「私お菓子とか作れないからさー」
「わぁ、私売ってるクッキーの中ではこれが一番好きなんだ!おいしいよね!」
「みーちゃんは優しいよねぇ。礼菜みたく冷たく当たったりしないし」
「冷たくて悪かったわね」
「え、そ、そんなつもりじゃぁ・・・」
「・・・シュンとなったみーちゃんも可愛いわね」
「禿同」
「ほら、やっぱりアレよ!」
「アレですか」
「みーちゃんは萌えの神様の生まれ変わりなのよ!」
「えぇっ!?」
「どんな発想だよ」
「だってほら、頭撫でてるだけでこんなに幸せ・・・」
「はうぅ」
「あーあ、百合モード入っちゃったよ」
「百合でもいいもーん。薔薇は願い下げだけど」
「ということがあってですね」
「天ヶ崎さんは、女の子が好きなんですか?」
「ええ、もう、可愛くて可愛くて『女の子しか好きになれない』っ!みたいな」
図書館に着くなり、早速先生と話し始めるあたし。
もちろん、胸にゆうじろうを抱いて。
いつだってゆうじろうはフカフカだ。
「あれですか?レz・・・」
「皆まで言わないでください!日本はマイノリティが迫害される国ですからね。これは正常なんだとみんなに思われるまではそういう認定受けたくないです」
「そ、そうなんですか」
そう言う意味ではオランダは暮らしやすそうな国だが、生憎日本を離れるつもりはない。
「あたしの夢は、そういう日本を変えることなんです!」
「じゃあ、政治家にでもなるおつもりで?」
「いえ、社長やります」
「社長ですか」
「有名になって、数を集めるんです。数は大体の場合、そのまま力になりますからね」
「長期戦ですねー」
「そうですねー。でもいつかみーちゃんを迎えに・・・」
「・・・まぁ目標があるのは良いことですよ。あ、そう言えば、この前天ヶ崎さんが手伝ってたポッドキャストのやつは、一次選考を通過したらしいですよ」
「おぉっ、やったてくれたな!これであたしの名前が売れるというもの」
「『有り難うございました、メイドさん!』ってメッセージが来てますよ」
「ぐぼぁ」
い、いつの間にあたしが文化祭の時着たメイド服の事を知ったんだ?!
そう言えば小西達がなにか話し込んでいたような・・・
「あ、そうだ」
ゆうじろうでひらめいた。
さっきさっちゃんからもらったクッキーがまだ余っているのだ。
「ゆうじろうにもプレゼントだよ!」
「あれ、手作りクッキーの方は?」
「・・・もう食べちゃいました」
カメラに収まったゆうじろうは、また、どことなく柔らかそうな表情をしていた。