小説2話

キッドは仇討ちを決意した。
そうと決まれば敵の調査だ。
いつも被っているテンガロンハットを脱ぎ、背中に背負っている「ウェポンボックス」――ミサイルやその他、キッドの予備魔力などが入ってる――を下ろし、常備しているガトリング砲を分解して懐にしまいこみ、青のハチマキ――夏軍では下等兵士が常備している――を巻き、夏軍がある一年中暑いことで有名な「夏の町」へ乗り込んだ。


軍施設の入り口から堂々と入る。
すると、早速人に声をかけられた。
「ねー、君キミ。ちょっとカレーの食券買ってきてくれない?今、仕事手ぇ離せなくてさ…」
山のような書類を抱えてフラフラバランスをとっていた棒人間。
キッドの頭の中で、かつての友から聞いた話が蘇ってくる。


『おい、キッド』
『何か用か。用が無いなら後にしてくれ』
『あるから話しかけてるのに決まってんだろ。
…この前侵略に来た夏軍にコテンパンにやられたやつがいるだろ』
『下等兵士の20人ほどだろう。
やる気が足らぬ』
『下等兵士って言っても、来月昇進予定のやつらも大勢いた。
そいつら倒したの、キバがあって能天気な話し方をするやつだそうだ』
『そんな話は用でない。
後数日したら奪われた領地を取り返しに行くんだろう、お前が。
そいつを倒す方法くらい考えてあるだろうな?』
『イヤ、まだだ』
『おい』
その友人がそいつ――ベッドで横になったその友人から聞いた名前は『白』――に倒されたのは、数日後だった…


「失礼ですがお名前は?」
キッドは恭しく聞いてみた。
「オレ?オレは・・・」
返ってきた言葉にキッドは内心ほくそえんだ。
「白、だよ」
「わかりました。ちょっとそこで待っていてください」


カレーの食券を白に渡された500円硬貨で購入し、あたりの人に白の部屋を聞き食券を届けると、キッドはすばやく夏の町を脱出した。




まだまだ続きます。