ミニSS 今日のゆうじろう

唐突に思いついたので、現実逃避ストレス解消に書いてみようかなと。
主人公は「初音ミクSS 恋するVOC@LOID編」の天ヶ崎礼菜(あまがさき らいな)です。


目の前には見慣れたドア。扉の前には「司書室」と書かれたシールが貼られている。
軽くノック。扉が薄いので、コンコンという軽い音が響きわたる。


「失礼しまーす」


立て付けの悪いドアはミシミシと文句をたれながら道を開く。
中には誰も居ない。あたしが一番乗りだった様だ。
入った所にあるテーブルにお弁当と水筒、昼休み中に終わらせたい数学のプリントとシャーペンを置いて、テーブルを挟んでドアとは反対側にあるソファーに向かう。


「ゆーじろー!」


灰色と白のパンダのぬいぐるみ。見方を変えれば「(スーパーマンみたく)飛んでる」と見えなくもないが、あたしから見ればダレてる様にしか見えない。そんなパンダがゆうじろう。
いつの間にか中村(友人。不思議ちゃん)がこう名付けていた。
いつものように抱きしめて、抱いたまま司書室から閲覧室に向かう。


「先生」
「わっ、天ヶ崎さん来てたの?!やっぱり気配無いよ」
「そんなに気配無いですか?!」


最近足音が立たないと、閲覧室で本の保護コートを貼っている司書の先生に気づいて貰えない。
どうも先生だけでなく、英語や数学の時間も全く当たらない所から、他の人からも気づかれていない節が・・・


「どーしよ、何でこんなに気配無いんだろ」
「さぁねぇ」


司書室に戻りお弁当を開けていると森さんがやってきた。


「こんにちは」


うぉぅ、ご飯を口に入れたばかりのタイミングで。


「んー、ふぉんにちわー」


いかん、なんて言ってるのか分からないじゃん。
今日もご飯がやたらに多い。弁当箱の構造上仕方ない配分だが、炭水化物だけ無駄にあっても困る。


「パンが値上がりしてた」


相変わらず森さんの台詞は簡潔だ。饒舌になるのはゲームの話の時位なんだろうか。
ますます長門さんみたい。
見ると森さんは学校の売店のパン袋を抱えていた。


「うーん、小麦価格が高騰してるから・・・かなぁ。こんなところまで余波が」
「ブラジルとかでは小麦畑作るために焼き畑してるって言うし、本当にバイオエタノールって環境に良いのかな?」
「さ、さぁ・・・」


正直「アメリカでバシバシ使われるだろう。農業くらいしかできない我々も収益を上げるチャンスだ!」と早とちった人々のせいだと思うけど、何だか心象悪くしそうなので黙っておく。
ゆうじろうはどう思うかな?
抱きかかえたゆうじろうを小突く。




森さんはパンを食べきると、早々に閲覧室へ出ていってしまった。
私も遅れてご飯を食べ終えて、数学のプリントを広げる。
一週間後に控えたテストの勉強もしなくちゃいけないし。受験勉強しなくちゃいけないし。だぁー、鬱だ。
そんなことも言ってられない。少なくともベクトルより得意な微積分で点を稼ぐしかない。
∫(a^2 - x^2)dx・・・で立式間違ってないかしら?
・・・・・・あー、しまった、2倍するの忘れてた。


「ねぇ、ゆうじろう。どうしてあたしは数学苦手なのかなぁ」


目線に掲げたゆうじろうに問う。こんなこと聞かれてもゆうじろうだって困るだけだろう。


「あ、そうだ。良いこと考えた」





閲覧室からパソコン雑誌の新刊をとって司書室に戻ると、森さんと司書の先生が戻ってきていた。
森さんはいつものように辞書を読んでいた。


「先生、ちょっとちょっと。これ見てくださいよ」
「何?何?」


あたしが指さした先にはゆうじろう。
あたしのシャーペンを持って数学の問題に挑戦してる・・・ように見える。


「あぁぁー、可愛いー」
「でしょ?でしょ?」


先生にも気に入って貰えたようだ。


「なんか真剣に悩んでるみたい。おい、ゆーじろう。解るのか?」


ゆうじろうを小突く先生。先生も可愛い人だなぁ。なんか写メ撮りだしてるし。
じゃあ私も一枚。パシャリ。


なんかオチ無しになってしまいました。
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